運動型のデイサービスなど、介護予防を謳っている現場では、体力測定を定期的に実施します。
僕は機能訓練指導員だったので、測定結果は運動の見直しなどをしていくために欠かせない情報でした。
今回は、運動を取り入れている介護施設で出来る体力測定についてお伝えしていきます。
介護予防の現場で実施しておきたい体力測定
実施しておきたい体力測定の項目は下記の通りです
- 握力
- ファンクショナルリーチ
- 5m歩行
- 片足立ち
- 1分間足踏み
この5つは、実施しておきたいところですね。
握力以外はすべて下肢に着目した内容となっています。
これをすべて実施することで
- 筋力
- 持久力
- 転倒リスク
- バランス感覚
上記をすべて数値化できるようになります。
ここで重要なのは、3ヵ月前とどう変わっているかということ。
体力測定は大体3ヵ月に1回実施します。
そこで3ヵ月前と今回、どう変化が出たかがポイント。
なので、当然ですが個人差は出てきます。
人と比べるのではなく、3ヵ月前の自分の記録と比べることが大切です。
維持できていればオッケー。向上してたら尚オッケー。
低下していたら原因を探り、改善点を考えていく。
そのための体力測定です。
優劣をつけるのではなくて、利用者と職員が現状を把握するために実施してください。
では前置きが長くなりましたが、1つずつ項目を説明していきます。
握力
測定方法
- 両足を自然に開いて安定した姿勢を取る
- 第2関節が直角になるように握る
- 息を吐きながら、握力計を握っていく
握力計は身体に触れないように実施してください。
また息を止めると、めまいを招くリスクがあるので息を吐き続けてください。
片手だけでも良いですが、僕は麻痺側などの握力を把握しておきたかったので、両方の手で実施していました。
ファンクショナルリーチ
ファンクショナルリーチは、転倒リスクを調べるために行なわれます。
ファンクショナルリーチについては良質な記事があったのでこちらをご覧ください。
参照:ファンクショナルリーチテストの目的・やり方・評価を徹底解剖!
こちらの記事に掲載している手順を引用させていただくと
- 壁に向かって横向きに立ち、両足を左右に開いて安定した立位姿勢をとってもらう
- 壁に近い方の手を軽く握って、脇が直角になるよう90°挙上させる
- 肩の高さで伸ばした拳の先端をチェック・マークする
- 同じ高さで拳を維持したまま、足を動かさずにできる限り前方へ手を伸ばさせる
- もっとも伸びたところをマークして、ゆっくり開始の姿勢に戻ってもらう
上記のような手順になります。
しかし、このファンクショナルリーチはリスクも高いテストになります。
前屈した際に、そのまま転倒する可能性もあるので無理をせず、必ず見守り介助をしながら実施してください。
また、体幹の捻りが入らないように両手で押すことがポイントです。
5m歩行
5m歩行は、単純に歩行スピードを測ることが目的です。
歩行は
- 下肢筋力
- 体幹の筋力
- バランス感覚
などが組み合わさって行なわれるものなので、この歩行スピードが向上するということは、あらゆる要素が向上するということに繋がります。
5m歩行は、ストップウォッチを使って行なうのですが、押さえておきたいポイントは、前後3mのゆとりを持たせること。
上記の図のように、ストップウォッチで測っている距離は5mですが、助走に3m、後ろも3mほどのゆとりを持って実施することで、より正確な歩行スピードが計測できます。
測定となるとつい早歩きをしていまう人もいますが、あくまでいつも通りの歩行をしてもらうようにお伝えしてください。
片足立ち
続いては片足立ち。
これは容易に想像できると思いますが、バランス能力の測定になります。
これも転倒のリスクがあるので、気を付けて行なう必要があるのですが、注意点としては
- 転倒しそうになったらすぐに支えられるように準備しておく
- 計測時間は最大60秒
- 支持足の足につけたり支えたりしない
上記に注意しながら計測してください。
とにかく転倒だけには気をつけ、ふらつきが強かったり、調子が悪い時は無理をせず中止することをオススメします。
1分間足踏み
最後は1分間足踏み。
これは下肢の筋持久力を測定します。
その場で1分間、出来るだけ多くの足踏みをしてもらい歩数を計測します。
注意点としては
- 途中で休憩してもいいが1分間やりきる
- 前に出すぎないように、その場で行なうことを意識してもらう
- 手すりは持たない
上記を意識して実施すればオッケーです。
膝を高くあげるというよりも、小刻みに多く踏んでもらうようにお伝えしてください。
安全かつ無理のない内容を選択する
今回は、介護予防の現場で実施しておきたい体力測定というテーマでお伝えしてきました。
当然ですが、安全に行なうことを大前提で実施してください。
運動の成果を確認する測定で怪我でもしてしまったら元も子もないです。
そして、すべてを測定する必要はありません。
利用者さまの身体状態や施設の従業員の数などを見て、出来そうな内容を選択すればオッケーです。
そして、測定で得られた数値を見て
で済ませてはいけません。
- どこが向上しているのか
- どこが低下してしまったのか
- 今後はどのような運動をしていけば良いか
といった振り返りが大切です。
そのための体力測定なのだから。
しっかりと結果を確認して、次につなげれるように改善していってください。
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