この記事は、介護現場などで


という方向けに書いています。
多発する転倒シーンを把握していただき、リスクを最小限に抑えてください。
またこの記事は、機能訓練指導員の僕が現場で見てきた転倒シーンと、利用者さんが、自宅で転倒してしまったシーンに分けてまとめました。
目次
機能訓練指導員が見てきた、高齢者に多い転倒シーン【通所時】

通所時に多い転倒シーンは、
- 歩行時の方向転換
- 椅子座位での重心移動時
- 立ち上がり時
上記の3つが多かったです。
転倒と言ったら、立位や歩行時に起きるイメージがありますが、座位でも油断できません。
1つずつ、注意点を解説していきます。
歩行時の方向転換
施設内の曲がり角や、歩行訓練の際のUターンなどでふらついて、そのまま転倒してしまうケースです。
このようなケースは、足よりも身体が先に向きを変えてしまった時に起きてしまいます。
若い人だったら問題ないのですが、筋力が低下している方や、足首が硬い高齢者には、踏ん張りが効かずに倒れてしまいます。
予防するためのポイントは2つ。
- 足の向きから変えてもらう
- 急に動かない
上記を意識して行なえば、転倒リスクは減らすことができます。
転倒予防のために鍛えておきたい筋肉は、こちらの記事をご覧ください。
椅子座位での重心移動
続いては、椅子座位での重心移動。
具体的には、座位で体操をしている時に転倒してしまうケースです。
例えば、

体幹の側屈時に、踏ん張りが効かずに転倒してしまったり、

ボールを踏んだ時に、ぐらついてそのまま転倒してしまったりするケースです。
道具を使った体操を例にしましたが、どちらも実際に僕が目撃した転倒シーンです。
特に多いのが片麻痺の利用者さんです。
患側に重心を乗せた時に、踏ん張りが効かず、そのまま椅子から落ちてしまうといったパターン。
この対処法は、スタッフが近くで見守りをすることです。
体操時、転倒の心配がある方は、近くでスタッフが見守ってあげてください。
立ち上がり時
続いては、椅子からの立ち上がり時に起きてしまう転倒です。
この原因は、
- 起立性低血圧によるめまい
- 筋肉が弱いため、踏ん張りが効かない
といったケースが主になります。
実際に写真でお伝えすると、

椅子から立ち上がった時に、

血圧が一気に下がってふらついてしまったり、

踏ん張りが効かずに、

尻もちをついて、圧迫骨折をしてしまったりするケースになります。
椅子からの立ち上がり時は、本人も予想してないことが多く、

と振り返る方も多いので、注意が必要です。
対策としては、立ち上がり時に手引きで介助をしてあげてください。
機能訓練指導員が見てきた、高齢者に多い転倒シーン【自宅】

続いては、自宅編。
意外なことに高齢者が一番転倒する場所は、外出先でも施設でもなく、自宅です。
多い転倒シーンは、
- 階段昇降時
- 浴槽をまたぐ時
また、自宅で転倒してしまう多くの人が、

と話しています。
まさにその通り。
転倒の怖さは理解しているのですが、自宅では油断してしまうケースが多いです。
1つずつ解説していきます。
階段昇降時
階段昇降時に転倒してしまうケースは、かなり多いです。
とくに、降りている時に片足での踏ん張りが効かず、そのまま転げ落ちるといったパターン。
高齢者の一戸建ては、バリアフリーではないところが多く、特に階段は一段一段が高くなっていることがあります。
段差が大きければ大きいほど、足にかかる負担も大きくなるので、筋肉が弱い方は注意が必要です。
対処法は、
- 手すりをつける
- 下肢筋力を鍛える
この2つを行なうことで解決します。
下肢筋力に関しては、こちらの記事をご覧ください。
下肢筋力の中でも特に鍛えておいて欲しいのが、大腿四頭筋。

椅子座位で出来るカンタンなエクササイズをお伝えします。
1.膝の裏にタオルをかけ、真上に持ち上げる

2.持ち上げたまま、膝を前に伸ばす

※この曲げ伸ばしを左右10回ほど繰り返してください。
浴槽をまたぐ時
入浴時も、転倒のリスクが高めです。
床が滑る上に、浴槽の高さを、またがなくてはいけないので、高齢者にとっては一つの運動にもなります。
すべって転倒してしまい、大腿骨の骨折をしてしまったというケースも少なくありません。
対処法としては、2つ
- 浴槽の中に足台を入れておく
- 膝を上げてまたぐトレーニングをする
この動きをスムーズにするために、鍛えるべき筋肉は、
- 大腰筋
- 中殿筋
上記になります。
膝を上げてから、横に開けるようになることがポイントです。
エクササイズ法は、下記の動画にて解説してますので、ご覧ください。
どこにいても転倒しないための心がけを

今回は、機能訓練指導員が見てきた、高齢者に多い転倒シーンといったテーマでお伝えしました。
まとめると、施設内で多い転倒シーンは、
- 歩行時の方向転換
- 椅子座位での重心移動時
- 立ち上がり時
自宅内で多い転倒シーンは、
- 階段昇降時
- 浴槽をまたぐ時
上記の5つが、よく見てきた転倒シーンです。
外出先で注意を払っている高齢者が多いですが、自宅の方が危険な場所が多いことも。
やはり、重要になってくるのは、

と常に注意を払うことです。
施設ではスタッフの方がしっかり見守りをして、自宅では転倒しやすい場所を伝えて、注意してもらうということが大切になってきますね。