介護の現場で起こる事故は、当たり前ですが起きないことに越したことはありません。
しかし、注意を払っても起きてしまうことがあるのも現状です。
今回は介護予防の現場、つまり運動指導時に起きてしまうリスクマネジメントについてお伝えしていきます。
目次
介護予防におけるリスクマネジメント
介護予防におけるリスクマネジメントとは、
対象者、家族および職員の安全と安楽を確保すること
引用:東京老人総合研究所
と定義しています。
そして介護予防の現場で起こりうるリスクは
- 転倒
- 脳卒中などの突発的事故
- 対象者からの暴力
などがあります。
この中には、自分の力では防ぎきれないものもありますが、事故は最小限に抑えておきたいところ。
押さえておきたいことは2つ。
僕が実際に、現場で何度か事故った経験から学んだことをシェアしていきます。
運動の禁忌
禁忌(きんき)とは、適応させてはいけないことと言った意味合いで医療の現場などで使われています。
もっと簡単に言うと、行なってはいけないこと。
つまり、運動をしてはいけない人のことを示します。
運動の禁忌事項は下記のとおり
- 急性炎症疾患
- 管理不十分な慢性疾患
- 重篤な疾患
上記が主な禁忌になります。
これだけだとざっくりしすぎてるので、細かく見ていきましょう。
急性炎症疾患
急性とは、
病気が急に起こり症状の進みが速い性質
これを示します。
急に起こって瞬く間に症状が進んでいきますので、そのような方は運動をしている場合ではありません。
優先すべきは、治療です。
シニアに多い、主な急性炎症疾患といえば
- 急性肝炎
- 急性腎炎
- 急性心筋炎
上記があげられます。
急性でも、命に関わるリスクは少ない炎症ですが、しっかりと治療をしてから運動をしてください。
管理不十分な慢性疾患
主な慢性疾患は2つ
- 糖尿病
- 高血圧
これは、なかなか馴染みのある疾患だと思います。
そして、この2つを改善するために運動を始めるも方も多いです。
しかし、ここでのポイントは管理不十分なところ。
糖尿病ですが、悪化してしまうと失明や下肢の切断などの最悪な選択をしなくてはいけないケースも出てきます。
そこまで悪化してしまうと運動をしていくのもかなり厳しくなってきます。
完全に禁忌かどうかと言われたら際どいところですが、転倒などのリスクも考えると、実施できる内容もかなり制限されてきてしまいます。
高血圧は、容易に想像できると思います。
高いと、急なめまいやふらつきを招き、倒れてしまったり、意識障害を招く恐れがあります。
140/90以上は高血圧に分類されるので、様子を見る必要があります。
重篤な疾患
重篤な疾患は、急性ですが命に関わる疾患を示します。
素早い対応をしても、無事かどうかわからないくらいの疾患です。
- 急性心筋梗塞
- 急性心不全
- 解離性大動脈など
このような症状が出たらとにかく素早い対処が必要になります。
落ち着いて対応できるように、日ごろから訓練しておく必要がありますね。
以上が主な運動禁忌です。
このような内科疾患が見られたらすぐにストップしてください。
緊急時の対応
続いて覚えておくべき項目は、緊急時の対応です。
事故が発生した時の対応は
程度確認→救急救命→119番通報→家族へ連絡
これが主な流れになります。
この対応は各施設によって違うと思うので、ここでは省きますがとにかく迅速な対応を心掛けてください。
運動を止めさせる勇気も重要です
僕は運動型のデイサービスで勤めていたので、当然ですが利用者さまは運動を目的に通所されています。
しかし、最初の体調チェックなどで、血圧が高かったり顔色が悪かったりすると、その日の運動はNGにしたりします。
利用者さま自体は体調自体は悪くないので
と落ち込む方も結構いらっしゃいます。
中には、
となかなか食い下がらない方もいます。
正直、こういう人にめちゃくちゃ弱かったですw
運動をしたいという意欲が痛いほど伝わるから。
しかし、運動は安全で行なうことが大前提。
やりたい気持ちを理解しながらも、はっきりとストップをかけていました。
止めさせるのも運動指導者の仕事です。
安全に楽しく出来るように適切な判断をして実施してください。
まとめ
今回は、介護予防におけるリスクマネジメントといったテーマでお伝えしてきました。
緊急時の対応も含めてなのですが、運動をする施設では機能訓練指導員のみならず、介護職員もある程度、専門的な知識が必要になってくると感じています。
過去に投稿した運動に関する記事を掲載しておきますので、よろしかったら合わせてご覧ください。
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運動を通してシニアを本気で元気にしたいと考えている方はぜひ一度ご覧ください。